Vtuberはコロナ禍が追い風に、ビジネスとしての可能性について
バーチャルユーチューバーとして知られる「Vtuber(ブイチューバー)」は、今や世界的な人気を誇るコンテンツとなりました。
Vtuberとして活動する準備さえすれば男女問わず誰もがユーチューバーとして活躍でき、年齢も問いません。
そんなVtuberに、さらなる追い風となったのが新型コロナウイルスです。
多くの業種・企業でマイナスの影響を及ぼした新型コロナウイルスですが、画面越しで活動をするVtuberにとって影響を受けにくいと言えます。
そこで今回は、コロナウイルスの影響をも跳ね返すVtuberについて、ビジネスの観点から今後の可能性を探ってみましょう。
■Vtuberとは

Vtuberとはバーチャルユーチューバーのことで、動画サイトYouTube(ユーチューブ)で動画を投稿して活動をします。
一般的なYouTube動画のように実際の人物が動画に登場するのではなく、アバターと呼ばれるキャラクターと、モーションキャプチャーと呼ばれる技術を用いてリアルな動きが可能です。
異性でも機械で音声を変えられるため、男女問わずどのようなキャラクターを演じることができます。
そんなVtuberは、モデル事務所のようにVtuber専門の事務所もあり、新たなビジネスとしても広く展開されています。
■Vtuber×ビジネスの可能性

まず、Vtuberをビジネス路線で考えたとき、どのような事業を展開できるでしょうか。
・アバターの作成
・オリジナル曲の作成
・グッズの作成
・動画配信サービス
・VRライブ
・AR/VR事業
Vtuberの活動は多岐にわたり、中にはアイドルやアニメなどとまったくかけ離れた属性のコンテンツを併せ、人気を博しているVtuberも少なくありません。
つまり、Vtuberはビジネスにおいて無限の可能性を秘めていると言えるでしょう。
■Vtuber×○○、未知なる可能性

ただ雑談や歌で視聴者を集めるのではなく、意外なコンテンツと掛け合わせたことで注目を集めるVtuberもいます。
●漢方医Vtuber「緑川スタジオ mスタ(エムスタ)」
れっきとした医師よるVtuberプロジェクトです。
Vtuber院長がアシスタントの女性キャラクターと掛け合いで動画を進行し、病気や漢方についてわかりやすく解説しています。
視聴者から知りたいというテーマを募集し、正しい知識を広く伝えながら活動をしています。
ソース
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000001.000073712.html
●仮想通貨Vtuber「ねむちゃんねる」
仮想通貨(暗号資産)のNEM(ネム)をモチーフにしたVtuber。
仮想通貨投資をはじめ、歌手活動や小説執筆など幅広い活動を見せています。
ソース
https://www.youtube.com/channel/UC7xyzq_Hd72-IbJVoz4DSrQ
●作曲Vtuber「ミディ」
バーチャルトラックメーカーとして、クリエイティブな活動を発信するVtuberです。
DTM(デスクトップミュージック)や音楽関連の動画をはじめ、ゲーム動画や雑談なども配信しています。
ソース
https://www.youtube.com/channel/UCs4zWdCrlnXmpVkjOgAHs0w
このように、歌や雑談、ゲームなどよくあるジャンルにとどまらず、自身が持つ属性を掛け合わせることで意外なコンテンツとして動画配信が可能になります。
■企業や自治体による広報としてのVtuber
企業も、自社オリジナルのVtuberを広告塔として用いる例があります。
たとえば、ロート製薬では「根羽清ココロ(ねばせいこころ)」という公式Vtuberを制作。
ロート製薬社員という肩書があり、同社YouTubeの動画総再生回数は200万回を超えています。(※2021年4月15日現在)
天気予報サービスで知られるウェザーニューズでは、天気予報を伝えるキャスターとして「WEATHEROID Type A Airi(ウェザーロイドタイプエーアイリ)」がデビューしています。
ウェザーニューズのお天気お姉さんとして、いつでも天気の情報を教えてくれるチャットボットサービスとしても活躍中です。
また、広島県では地元の魅力を発信するVtuberとして、声優を募集するプロジェクトが行われました。
広島のバーチャル広報大使としてテレビ等に出演し、地元の魅力を発信する活動を行うといいます。
このように、企業だけでなく自治体も公式Vtuberを用いて情報発信を積極に行うようになりました。
■コロナ禍におけるVtuber
事務所に所属するVtuberの場合はリアルイベントが行われることもありますが、基本的にはスマホやタブレット端末の画面越しに配信された動画を閲覧します。
そのため、新型コロナウイルスの影響によってライブが中止されたり、イベントが中止されたりする可能性が低いのが特徴です。
特に、個人で活動するVtuberの場合、自分のペースで動画配信ができるため、少しずつ認知度を上げていけば収益化ができる可能性もあります。
動画配信サービスによってルールは異なりますが、配信中に視聴者からプレゼントされる「投げ銭」は、人気Vtuberともなると驚く金額になることも。
また、視聴者にとってもVtuberのコンテンツを閲覧するのはコロナ感染のリスクがなく、さまざまな娯楽が制限される中で貴重なコンテンツとして楽しむことができます。
そのため、Vtuberは新型コロナウイルスの影響により、さらに注目されていると言えるでしょう。
■AR/VRとVtuberの親和性

新型コロナウイルスの影響により、すでに多くの場でAR/VR(拡張現実・仮想現実)を用いたイベントが開催されています。
実際に人同士の接触がないものの、まるで他の人とやり取りをしたり外にいるかのように思えるコンテンツです。
そして、その親和性が非常に高いのがVtuberです。
VR空間でのライブは、ファンがアバターを使って観客として参加でき、オンライン配信によって一体感を生み出します。
コロナ禍で直接ライブ会場に行けないという不満を解消し、Vtuberがアーティストとして活躍します。
引き続きコロナウイルスの影響があると思われる今後も、リアルな場所でのライブやイベントが難しくても、AR/VRを用いたVtuberによるイベントが人気を集めるでしょう。
■まとめ
Vtuberは、発信する動画やコンテンツの内容はもちろん、アバターのデザイン、声など、あらゆる特徴を変えることで無限の可能性を秘めています。
また、アバターを動かす技術もより立体的な3Dで動かすのか、コストが低く誰でも始めやすい2Dで動かすのか、動画コンテンツによってそれぞれ向き・不向きがあるため検討する必要があります。
どのようなデザインが狙ったターゲットに受け入れてもらいやすいか、どのようなコンテンツなら意外性が高く注目してもらえるかなど、ぜひこれからVtuberを始める方は検討してみると良いでしょう。
楽曲制作やイベント開催など、Vtuber関連の事業も非常に注目されています。
大きなビジネスチャンスがあるVtuber事業は、コロナ禍という追い風を受け、今後もますます過熱していくのではないでしょうか。