コロナ禍で注目される「旗艦店」とは、企業の取り組みや今後について解説
新型コロナウイルス感染症が猛威を振るい、私たちが日々買い物をする場所に少しずつ変化があらわれています。
これまでのようにお店に足を運んで買い物をするのではなく、ECサイトなどEコマースを利用したネットショッピングをする機会が増えました。
ただ、そんな中でも注目されているのが「旗艦店」です。
ネットショップではなく重要な実店舗として利用されている旗艦店ですが、コロナ禍というこのタイミングで旗艦店をオープンさせるメーカーの狙いは何なのでしょうか。
今回は、旗艦店がどのようなお店なのか、そしてコロナ禍における旗艦店の重要性や、旗艦店をオープンするさまざまなメーカー・企業の取り組みや狙いを詳しくご紹介します。
■旗艦店(きかんてん)とは?

旗艦店(きかんてん)とは、そのブランドやメーカーにとって中心的な意味や役割を持たせた重要なお店のことを指します。
いわゆる、フラッグシップショップ(Flagship Shop)とも呼ばれています。
そもそも旗艦(きかん)とは、海軍において司令官や重要な役割を担う人が乗った船のこと。
全体に指令や命令する役割を持つ船(艦)です。
そこから、重要な意味や役割を持たせたお店のことを、旗艦店と呼ぶようになりました。
また、旗艦店と同じような意味で使われるのが「直営店」ですが、直営店は企業が直接経営を行うお店全体のことを指します。
その中でも特に重要なお店なのが、旗艦店です。
つまり、直営店の中に旗艦店が含まれるというイメージです。
■日本の旗艦店あれこれ
では、旗艦店には具体的にどのようなお店があるのでしょうか。
ここからは、日本にある旗艦店をいくつかご紹介します。
スシロー

全国に店舗を展開する回転寿司のスシローは、2021年4月22日に関西エリアの旗艦店「スシロー梅田茶屋町店」をオープンしました。
これまでのスシローのイメージは、郊外の路面店で広い駐車場を設けた店舗でした。
ですが、今回の旗艦店は都市部への出店で、大阪屈指の繁華街となる梅田です。
アクセス良好な立地は、郊外にあるスシローになかなか行けないという声にもこたえています。
特徴は、受付の自動案内、持ち帰り注文の直接受け渡しを防ぐ自動ロッカーなど、最新設備が導入されていることです。
また、従来の郊外型スシローとは価格設定が異なっており、1皿120円(税込132円)からとなっています。
ソース:スシロー
https://www.akindo-sushiro.co.jp/news/detail.php?id=2245
価格設定は郊外型のスシローよりも割高ではありますが、都市型店舗でしか食べられないお得なメニューも多く、満足感の高い店舗になっています。
アットコスメ

コスメの口コミサイトとして知られるアットコスメの旗艦店が、「アットコスメ東京」です。
2020年1月にオープンしたこの店舗は、初の路面店として、3フロア・400坪の売り場に数多くのコスメを取りそろえています。
単なるコスメを販売するお店ではなく、テスターやスタッフへの相談を経てコスメ選びに関わる時間を楽しむことができるのが特徴です。
デザイン性の高い店内、海外からの観光客に向けて翻訳機や外貨両替機を設けるなど、まさにアットコスメを代表する旗艦店になっています。
ユニクロ

国内外に多くの店舗を構える衣料品販売のユニクロは、2020年6月に東京の銀座に旗艦店をオープンさせました。
実は、ユニクロが銀座の地に旗艦店を構えるのはこれが初めてではありません。
2014年に銀座初の旗艦店として「ユニクロ銀座店」がオープンしています。
銀座は国内外問わず観光客が多い場所のため、2店舗目となる旗艦店ができたといいます。
「旗艦店」にふさわしい大きな売り場面積、そして銀座という立地、「UNIQLO TOKYO」という店舗名のとおり外国人観光客にも向けグローバルな旗艦店になっているのが特徴です。
■コロナ禍で変化するEコマースの消費

新型コロナウイルスの影響により、多くの人はコロナ以前に比べて実店舗での買い物を控える傾向にあります。
そこで注目されているのがEコマースです。
Eコマースとは日本語で「電子商取引」を指しますが、いわゆるインターネットショッピングのことです。
インターネット上の買い物なら、実店舗のように他のお客さんやスタッフとの距離を気にすることなく、買い物を楽しめるメリットがあります。
ですが、その一方で気になる服や靴の試着ができないこと、実物を見られないためイメージがわきにくいこと、実際に注文して届いた後に想像していたものと違うなどのデメリットもあります。
Eコマースにはコロナ禍において便利である一方、買い物を楽しみたいユーザーにとって物足りない買い物方法であることも事実です。
そして驚くべきなのが、コロナ禍にもかかわらず実店舗となる旗艦店をオープンさせる企業が多くあることです。
■旗艦店を推す企業の取り組み
先ほどご紹介しましたスシローやユニクロは、まさにコロナ禍の挑戦とも言える旗艦店オープンです。
また、コロナの影響が色濃い2020年9月、既存の旗艦店をリニューアルオープンさせたのは、化粧品メーカーのファンケルです。
コロナ禍の影響で売り上げが大きく落ちた化粧品から、美容や健康に重きを置いた体験型コンテンツを増やしたといいます。
これらの企業・メーカーの旗艦店に共通するのは、実店舗でないとできない取り組みを行っていることです。
スシローはスタッフとの直接のやり取りをせずともテイクアウトができるのはもちろん、店舗で食事をする際にも安心できるよう、専用レーンで商品が届くオートウェイター(Auto Waiter)などの機能を導入しています。
アットコスメやユニクロも、実物の商品を見て試すことで購買意欲を高めていると言えるでしょう。
このように、コロナ禍でインターネットショッピングでの買い物をする割合が増えている中でも、旗艦店は企業やメーカーの頼みの綱として大きな役割を担っています。
■コロナ禍の影響を受ける旗艦店も

オープンする旗艦店が多くある一方、コロナ禍の影響を受け、閉店した旗艦店もあります。
アメリカ・ニューヨークに店舗を構えていたアシックスの旗艦店は、2020年12月に閉店しました。
1984年にオープンした、東京・池袋にある東急ハンズの旗艦店も2021年9月下旬に閉店すると発表されています。
こちらは建物自体の老朽化が進んだため改装を検討したものの、新型コロナウイルスの影響により改装後の集客が見込めないと判断されたようです。
■まとめ
旗艦店の中には、長引く新型コロナウイルスの影響により閉店を余儀なくされてしまったところもあります。
しかし、そんな逆風が吹き荒れる中でも積極的に顧客獲得や、ブランド認知に取り組むチャレンジ企業も数多く存在しています。
私たち消費者は、パソコンやスマートフォンを使って指1本で欲しいものを自宅まで届けてもらうことが可能です。
ですが、届いた商品のイメージが思っていたものと違った、実際に届いた服のサイズが合わなかったなど、失敗をしてしまったこともあるでしょう。
実店舗である旗艦店は、その企業やメーカーにとって非常に重要な店舗のため、ユーザーに安心して来店してもらえるようコロナ対策を徹底しています。
消費が低下してしまった今だからこそ、再びユーザーが安心して買い物を楽しめるよう取り組んでいます。
ぜひ、コロナ禍でオープンした「旗艦店」に足を運んでみてはいかがでしょうか。