パブリックビューイングの成り立ちと可能性

■古くは昭和の時代、既に前景は誕生していた

日本においては昭和の時代、まだテレビが高価で大多数の人が所有することが出来なかった頃に、街の一画に設置されたテレビに人々は集まり、プロレス観戦や皇室行事などを見ることが出来ました。

一つのコンテンツを大人数で共有し、感動や興奮を分かち合う場所として当時は存在していましたが、日本においては“パブリックビューイング”の根源であると考えられています。

■2002年FIFAワールドカップで急激に再普及

そこから時は経ち、2002年のFIFAワールドカップにおいて、大型のビジョンで迫力ある映像を大人数で見ながら興奮を共有する楽しみ方が国内に一気に普及しましたが、まさしくそれが昭和の時代に誕生した“パブリックビューイング”です。

大きな広場に設置された大型のビジョンに大勢の観客が集まり、会場とは遠く離れた場所でも臨場感溢れる中継映像を楽しんだり、小さなスポーツバーなどの中に設置されたスクリーンやテレビに常連客達が集い、観戦を楽しんでいました。

今ではスマホで簡単に中継映像が見れるようになったので、個人レベルで楽しむ人も多いですが、やはり大人数と同じ空間を共有しながら味わうあの感動と興奮は個人レベルでは味わえない体験であり、今もなおスポーツやコンサートなどにおいては大型ビジョンを用いたパブリックビューイングイベントが開催されています。

■パブリックビューイングとドライブインシアター

ところが、昨年から新型コロナウイルスの影響により、あらゆる場所で感染防止対策が取られるようになり、大勢で一箇所の場所に集まって楽しむパブリックビューイングも開催が困難な状況になってしまいました。

その裏で、同じようなコンテンツとしてドライブインシアターが注目を集め、各地で車に乗ったまま大型ビジョンに放映される映画や動画を楽しむイベントが実施されました。

ドライブインシアターも日本においては昔に流行した時期があり、不特定多数との接触を防げることから感染防止対策に有効であると考えられ、再度流行を見せています。

■オリンピックとパブリックビューイング

今、ニュースで連日報道されていますが、もともとは去年開催予定だった東京オリンピックも新型コロナウイルスの影響で開催が困難となり、1年延期することが確定し、いよいよ今年の夏に開催されることが決まっています。

オリンピック程の大型のスポーツイベントとなると、国内の多くの場所でパブリックビューイングを開催されることが予想されます。

ただ、通常のパブリックビューイングだと、感染防止対策の点から今では実施が難しく、あの体験を共有することが出来なくなってしまいます。

■ドライブインパブリックビューイング

そこで先ほど申し上げたドラインブインシアター方式であれば、パブリックビュイーングも開催出来るのではないでしょうか?

実際に昨年実施されたドライブインシアターイベントにおいて感染拡大に繋がったという報道は出ておりませんし、今も各地で開催されています。

その方法を活かし、車に乗ったまま大きな広場に集まり、大きなビジョンでオリンピックを観戦することが出来れば、それはもう立派なドライブインパブリックビュイーングであると言えます。

先日、某所で開催されたドライブインシアターイベントにおいても、昼間に150台程の車を収容しても支障なく映像が見れる大型ビジョンが設置され、音声はFM無線で飛ばすことにより車内にいながらもリアルタイムで臨場感溢れる演出を楽しむことができました。

昼間でも圧倒的な光量で鮮明に映し出された画面
車内にいながら、音声はFMで聞くことが出来た

この夏にかけて、無事にオリンピックが開催された時には、各地で新しい形のパブリックビューイングが行われているかもしれませんね。

(参考資料:http://www.waseda.jp/sports/supoka/research/sotsuron2012/1K09B204.pdf